--思惑犇く春の最強マイラー決定戦・安田記念!-----

 これほど各陣営の思惑が動いた安田記念はあっただろうか。
 正直、私の競馬人生の中でも今年ほどというのは記憶にない。
 その要因は様々あると思うが、その中でも一際目立ったのがあの有力陣営の動向だ。この陣営はここ数年を見ても、リーディングでは上位に位置しており、まさに昇り調子と言って良い。
 そして今年、その陣営にとってはまさに名実ともにトップトレーナーの地位を築き上げる大チャンスが巡ってきたかに思われていたが、大誤算が生じた事により、この安田記念を何が何でも勝たなければならない理由が出来たのだ。
 まさに本気そのもののメイチ勝負。
 こうなってしまった背景には、もともとこの陣営は今年、幾つかのG1奪取のチャンスを迎えており、前走こそ敗れはしたものの、その内容とこの先のG1の主なメンバー構成から、そこでも確実に1勝は加算できると確信していた。
 しかし、それがある有力ライバル陣営のローテーション決定により、崩れてしまったのだ。確かに先のG1で勝算がない訳ではないが、明らかに分が悪い事は確か。これにより、先のG1での勝ち星が微妙になった今、この安田記念での勝ち星が非常に重要なものとなったのだ。
 注目は間違いなく、この陣営と言って良い。
 その証拠に、陣営は騎手を替え、虎視眈々と一発を狙っているのがすぐわかる。

--注意は高松宮記念勝ち馬!!-----

 ここに面白いデータがある。それは同じ年の高松宮記念と安田記念を獲った馬がいないという事だ。当然、高松宮記念の勝ち馬は人気でも上位を占める事になるだろう。しかし、やはり1200Mと1600Mの距離の壁と形状が全く異なるコースの問題がある事は言うまでもなく、今年も例外ではない。
 また、それだけではなく、そこには高松宮記念から安田記念に至るまでのローテーションが陣営サイドを悩ませているのだ。
 G1クラスにもなると、そのローテーションも重賞を使ってくる事は普通だが、その重賞戦と言っても、前哨戦となるレースはダービー卿CT、マイラーズC、京王杯SCが打倒だろう。しかし、ダービー卿とマイラーズCにおいては、本番と距離も同じで問題はないと言えるが、高松宮記念組からすれば、どうしても間隔が短く使いにくい。
 一方、京王杯SCは距離が1400Mという事もあり、実践形式ではあるが、その結果を鵜呑みにする事は出来ない。
 そのような状況下、ある陣営は秘策をもって出走する。
 それを私は入手する事に成功したのだ。
 安田記念は難しいようで簡単に獲れる。
 尚且つ、あの馬の着順によっては、高額配当も不可能ではなくなるのだ。